諾成契約は民法改正でどう変わる?変更点と注意点を解説

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諾成契約は民法改正でどう変わる?変更点と注意点を解説

民法改正により諾成契約に変化

金銭消費貸借契約について、2017年5月に民法改正が行われました。2020年4月1日より施行され、新たに諾成契約のルールが追加されています。

 

諾成契約とは

諾成契約とは、契約を行う双方の「合意のみ」で成り立つ契約のことです。

つまり契約書や覚書がなくても、「口約束」など双方の意思表示があれば契約したとみなされます。

諾成契約は、売買契約や賃貸借契約といった契約のほとんどに適用されています。

金銭消費貸借契約は民法587条で定められていますが、今回の民法改正によって、その民法587条に新たに「諾成契約」の条件が追加されることとなりました。

 

民法改正は約120年ぶり

契約に関する民法は多くありますが、そのほとんどは1896年(明治29年)に制定されたものから変わっていません。

つまり2017年に行われた民法改正は、実に約120年ぶりとなるのです。

民法改正が行われた背景の一つには、国民の生活様式の変化があります。120年前からはおよそ想像もつかないほど我々の生活は変化しました。

身近なところでいえば、IT化があります。今ではほとんどのビジネスでパソコンが普及しており、1人につき1台以上パソコンを使うことも珍しくありません。

やり取りはメールやチャットツールが当たり前となり、ペーパーレス化が推進されています。

上記のような生活背景の変化を鑑み、金銭消費貸借契約もより今の時代に合わせる内容で民法改正が行われたのです。

 

諾成契約の具体的な改正ポイント

民法改正によって諾成契約は具体的にどう変わるのでしょうか。

そのポイントは、消費貸借契約における契約種類の追加と、契約上のルールの変更があります。それぞれ順にご紹介します。

 

「要物取引」以外の契約を公に認める

民法改正前は、消費貸借契約の原則は要物契約による取引のみとされていました。

しかし民法改正によって諾成契約が追加され、要物取引以外の契約も公に認められるようになったのです。

これが、民法改正により消費者契約の種類に追加された点です。

 

〇要物契約とは

「物を要する」と書く要物契約は、対象となる「物」があって初めて成立する契約のことをいいます。

民法改正前の消費貸借契約は、契約者双方の合意だけでは成立しませんでした。契約書を取り交わす以外に貸借する「物」の存在が不可欠であり、対象物の引き渡しをもって初めて契約成立とみなされていたのです。

実は、今までも諾成的消費貸借の契約は存在していました。たとえば、銀行を契約相手とした「融資枠」の契約は諾成的消費契約に当てはまるという判例があります。

銀行が審査の結果「融資できる」と回答すれば、契約書の取り交わしや融資金を受け取る前であっても契約は成立したものとして扱われます。

その後何らかの事情で銀行が融資を拒否することは、諾成契約が成立している以上「契約違反」とみなされるのです。

民法改正前は諾成契約が明示的に認められていなかったため、上記のようにケースごとに裁判所に判断を任せなくてはいけませんでした。

しかし民法改正後は、民法第587条の2に諾成契約が明記されているためその必要がなくなります。

 

書面による取り交わしが必要

諾成契約とは、前述の通り双方の合意だけで契約が成立します。しかし民法改正によって、諾成契約でも書面の取り交わしが必要となりました。

これも、民法改正による契約上のルールの変更点です。

前述した銀行融資のように諾成契約はニーズがあり、すでにさまざまなシーンで利用されています。

しかし民法改正によって諾成契約を明示的に認めると、口約束でも貸借義務が発生するため、一方に不都合が生じるかもしれません。

そこで今回の民法改正では、特定の諾成契約について双方の合意の意思表示として書面を使うことがルールとして追加されたのです。

しかし要物契約が廃止になるわけではありません。諾成契約は任意規定であり、対象物の受け渡しをもって契約を成立させることも可能です。

その場合は「特約」という位置づけで、契約書に明記しておけば問題ありません。

 

諾成契約の解除には損害賠償が必要

民法改正によって明示的に認められた諾成契約には、対象物を受け取るまでなら解除できるというルールも追加されました。

契約が成立した後、なんらかの事情で対象物の受け取りが不要になる場合を考慮したためです。

また借主の解除権だけを認めると、貸主が対象物をすでに準備していた場合不当な損害が発生してしまうというケースもあるでしょう。

そのため、諾成契約の解除によって貸主に損害が発生する場合は、借主に損害賠償を求めることができるというルールも加えられています。

損害賠償の金額については、諾成契約の成立前に双方で話し合い契約書に明記するとよいでしょう。

 

民法改正による諾成契約の注意点

実は民法改正により、諾成契約は書面以外に電磁的記録によっても成立するとされました(民法第587条4項)。つまり、メールやチャットツールといった電磁的な記録で双方の意思表示があれば、諾成契約が成立してしまうのです。

お互い合意の上であれば問題ありませんが、どちらか一方に合意の意思がなければトラブルになりかねません。この点は十分注意するようにしましょう。

 

契約締結も電子化される時代

民法改正による諾成契約の変更点と注意点についてご紹介しました。今まで口約束でも成立していた諾成契約ですが、民法改正後は書面や電子的な記録が必要となります。

「契約書の準備が面倒」という場合は、電子署名やタイムスタンプで法的な効力を保ちながら、スムーズに契約の取り交わしを行える電子契約書を導入してはいかがでしょうか。

興味がある方は、ぜひご検討ください。

 

 

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