民法改正によって新設された定型約款とは?内容について解説

カテゴリ:契約

民法改正によって新設された定型約款とは?内容について解説

2017年5月に改正民法が成立し、約款について約120年ぶりの抜本改正が行われ定型約款が新設されました。

しかし、その内容についてよく理解できていないという方も多いのではないかと思います。今回は定型約款について解説いたします。

 

民法改正について

改正が行われる前の約款にはどのような問題があったのか、また民法改正が行われた理由について解説いたします。

 

約款とは

約款とは、ネット通販や電気、ガスなどを契約する際に企業が不特定多数の消費者に対して同一の取引内容を示し、大量の取引を迅速かつ効率的に行うためにあらかじめ作成された定型的な取引条項のことをいいます。

 

約款の問題点

約款は多数の消費者を対象とするため内容を変更する際に消費者一人ひとりに同意を求めるのが難しく、事業者側としては定型的な文書を作成することによって同意を求めたい、一方的な変更を可能にしたいというニーズが発生します。

対して消費者側は約款を個別に承認したわけではなく、中には不利な条項も存在するにも関わらず内容に拘束されることに疑問を抱いているという問題点がありました。さらに、条項の中には事業者が一方的に内容を変更でき、その理由が明確化されていないものもあることからトラブルが起こってしまうリスクが潜んでいました。

 

民法改正の背景

以上のような問題点から約款について新しくルールが設けられることになりました。

民法が制定されたのは明治29年ですが、約款についての規定がなかったため法的に曖昧な状態でした。また、インターネットの普及によってネット上の取引が増えたことにより、消費者保護が重視され社会の価値観が大幅に変化しました。

このような背景から約款についてのルールを見直して明確化する改正が行われることとなりました。

 

新設された定型約款とは?

民法改正によって新設された定型約款とは一体どのようなものなのか、解説いたします。

 

定型約款の定義

定型約款は民法改正により「定型取引において契約の内容とすることを目的としてその特定の者によって準備された条項の総体(改正民法548条の2第1項)」と定義づけられました。

これを満たすための要件として、①定型約款は「定型取引」で用いられること ②アプリケーションなどをダウンロードする際の利用規約などのように、当事者が守るべき決まりを目的として作られたものという2つの要件があります。

 

約款と定型約款の違い

注意しておきたいのは、約款と定型約款が異なるものであるということです。

改正民法は約款すべてに適用されるというわけではなく、上記の定義に該当する約款のみが定型約款として適用されます。

 

該当する文書としない文書がある

定型約款として該当する文書と該当しない文書があり、事業者間の契約書のひな形や就業規則、労働契約書などは定型約款に該当しません。

理由として、定型約款の要件である定型取引は没個性的な取引であり、労働契約などは相手の個性に着目し個別に行われる取引だからです。事業者間の取引でも該当するものとしないものがあるため注意が必要です。

 

経過規定について

改正民法の規定は、施行日前に締結した定型取引にかかわる契約も遡って適用されます。

従来の民法下で有効だった定型約款は改正民法によって有効性が明らかになり、さらに変更された規定も適用されます。

なお、平成30年4月1日から施行日前(令和2年3月31日)まで、反対の意思を表示すれば適用から除外される経過措置期間が設けられていました。

 

定型約款の変更について

本来消費者との間で個別に合意がなされることで約款の内容は変更できませんでした。民法改正によってどのように変更があったのか解説いたします。

 

変更の必要性について

民法の原則では、一度締結した契約の個別条項を変更することはできません。しかし、約款は不特定多数との間で締結している定型取引にかかわる契約で、一定期間継続しているものである場合に、約款の準備者側で条項を変更せざるを得ない必要性が生じた場合に全当事者に合意を得るというのは難しく、現実的ではありません。

そこで民法改正によって、定型約款の変更で相手方の利益に適合する「利益変更」もしくは定型約款の変更によって契約の目的に反しないかつ必要性や相当性、改正民法の規定によって定型約款を変更することがあるという旨の内容が定められていること、事情に照らし合わせて合理的である「不利益変更」の要件が適用される場合、定型約款を変更できるという規定が定められました。

 

変更内容の相当性について

不利益変更に関しては相手方に不利益が生じないため、違和感なく変更が認められる可能性があります。改正民法は変更の合理性を判断するための例示を記していて、そのうちの相当性は変更後の内容が相当であるか否かを、相手に及ぶ不利益の程度などによって判断します。

現在具体的には定められていませんが、例えば原材料が高騰した場合、転嫁する以上のサービス料値上げは相当性がないとして判断されます。

 

変更の手続きについて

定型約款の変更を行うためには手続きが必要になります。①定型約款を変更する効力発生時期を定めて ②変更する旨および変更後の内容や効力発生時期をインターネット利用やその他の適切な方法によって周知するという手続きが必要です。

合理的な変更だとしても効力が生じなくなるため、必ずこの手続きを行いましょう。

 

まとめ

約款は民法改正によって様々な規定が定められ、従来曖昧だった問題を解決する定型約款として事業者側にとっても消費者側にとっても明確なものになりました。

定型約款には細かい要件や規定があるため、該当する文書や変更手続きなどよく注意して扱いましょう。

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