電子契約書に角印は必要?印影を電子化する法的意義とリスク

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電子契約書に角印は必要?印影を電子化する法的意義とリスク

契約書を締結する際に「代表者印」と「角印」、どちらを押印するか迷いどころです。また、最近では電子契約書も普及しており、そもそも押印できるのかも気になるところ。今回は契約書に必要な印鑑の種類、電子契約書に押印は必要なのかについて法令を挙げながらご説明します。

 

契約書の角印の法的効力

契約書の締結では「署名」と「押印」がセットというイメージがあります。では、この場合の「押印」に使用される印鑑の種類は何なのか、そしてどこまで法的な効力があるのでしょうか。

角印は会社名を示すもの

企業が使用する印鑑にはいくつか種類があり、それぞれ役割が異なります。

 

・代表者印…企業の代表者名を記したもので、代表者しか使用できない

・銀行印…銀行口座を開設したり、融資を受けたりと金融機関で使用する

・役職印…部長や支店長など、企業内での役職者のみが使用できる

・角印…企業名が記されたもので、代表者以外の社員でも押印できる

 

企業間での契約書の締結には代表者(社長)の名前が署名されます。そこに代表者しか使用できない代表者印が押印されて初めて契約書として成立する、というのが一般的な流れです。

対して、角印は社員であれば誰でも押印できるため、契約書に使用されることはあまりありません。たとえ契約書に使用しても、企業や代表者の承認がされたとは捉えづらいためです。

押印はあくまで「習慣」

では、結局のところ角印にどこまでの法的効力があるのでしょうか。実は、契約書の押印は「習慣」としての意味が強いとされており、たとえ契約書に押印がなくても成立するのです。

というのも、契約とは当事者間で意思表示をして合意する行為になります。そのため、契約書がなくても成立する、それこそ「こうしましょうね」と口約束でもいいわけです。しかし、契約書がないと紛争になったときに困るので、証拠のひとつとして契約書は作成されます。

また、アメリカをはじめとした各国では契約書は「署名のみ」が基本で、「押印まで」を求めるのは日本だけ。これらのことからも、押印そのものに絶対の法的効力はないと考えられます。

紛争では一定の評価がある

日本では契約書の押印は「習慣」とのことでしたが、民事訴訟法228条においては「文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。」「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と記載されています。

つまり、契約書という私文書を作成した場合には、それが真正(本物)だと証明する必要があり、押印は真正を証明する要素にはなる、ということです。例えば、契約内容の相違で裁判を起こしたとして、契約書に押印があれば、その内容を証明するひとつの証拠として認定されるわけです。

ただし、印鑑は誰が押印しても同じ文様ができます。そのため、押印だけでは証拠として不十分なこともあり、だからこそ契約書には「署名」と「押印」の2段階が求められるのです。そして署名と押印の名前は同じであるのが必須で、企業名を示すだけの角印では不十分とされます。

 

電子契約書に角印は必要ない

契約書そのものに角印あまり必要ないとのことで、電子契約書であってもそれは同じです。では、電子契約書に押印そのものは必要ないのか、法的効力は得られるのでしょうか。

電子契約書でも押印はできる

まず、電子契約書はデータですので、紙媒体のように直接の押印はできません。しかし、最近では印鑑を画像データ化した「電子印鑑」があるので、電子契約書でも押印はできます。

電子印鑑はゼロベースからデザインもできますし、代表者印や角印などすでに使用している印鑑をスキャナで取り込むことも。それこそイラストソフトがあれば素人でも可能でしょう。

押印そのものの必要性がない

ただし、紙媒体の契約書以上に、電子契約書において押印の必要性は薄いとされます。電子契約書には「電子署名」のような押印に代わる「契約の証」が存在するからです。

電子署名法には「本人による一定の要件を満たす電子署名が行われた電子文書等は、真正に成立したもの(本人の意思に基づき作成されたもの)と推定されます。」と記載があります。たとえ押印がなくても、電子署名のある電子契約書には十分な法的効力が認められるのです。

引用:http://www.c-a-c.jp/about/grounds.html

 

角印を電子印鑑にするリスク

そもそも普段から使用している印鑑を電子データ化するのはおすすめしません。最近のスキャン技術、複製技術は高く、電子印鑑を勝手に複製されるリスクがあるためです。

もちろん、不正に複製された印鑑に法的効力はありません。しかし、それは裁判となり、公的機関で検証されて初めて複製だと分かるもので、素人が見分けるのは困難です。

第三者が不正に印鑑を複製して勝手に企業と取引した場合、一見して違和感がなければ相手の企業も気付かずに契約します。相手から訴えられて初めて複製の被害に気付くわけです。

 

まとめ

裁判での証拠能力を考えると、契約書には「署名」と「押印」の2段階の証明は必要です。しかし、あくまで署名と押印の名前は同じであるのが条件で、使用するのは代表者名が記載された「代表者印」が一般的。企業名が記載された「角印」を使用することはまずありません。

また、そもそも電子契約書には「電子署名」があるため印鑑すら必要はなく、法的効力は紙媒体と同様に認められています。さらに、電子署名の他にも様々な改ざん対策が施されていることから、電子契約書は紙媒体以上に便利かつ安心できる契約方法としておすすめです。

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